ある女性の哀しい子育て
市井の人に街中で声をかけ、その人の家へついていき、その人生について聞くというテレビ番組が好きで、毎回欠かさず見ています。
その日登場したのは、埼玉県にすむ、一人暮らしの60代の女性(とは思えないほど若々しい見た目だったけど)でした。
もともとは普通のお母さん。
自身の心臓の病をおして産んだ一粒種の男の子を大切に大切に育てていたそう。
けれど、幼稚園で、息子の行動が遅いことを注意され、先生に「しっかり躾けてください」と言われて追いつめられ、そこから、小学校時代もずっと言葉の虐待を続けてしまった、とのこと。
世間に子どもがちゃんとしていないと指摘されると、自分がちゃんとしていないからと言われた気持ちがして、どうしても子どもにちゃんとしてと強要してしまう。
愛しているから、怒ってしまっては後悔するの繰り返し。
やがて息子が成長し、今度は、彼が反抗的な行動を繰り返し、とうとう母親である自分が家を出るしかなくなり、それからずっと、アパートで一人暮らしなのだ、と言う。
だれも悪くない。
哀しい話。
家族支援者として、今までも何度も無力感を感じてきました。
私のできることなんてほんの少しで、だから、たとえて言うと、砂浜で砂を掬っても掬っても指の間からこぼれる――ずっとそんな感覚を抱えて来ました。
テレビの前に座る私に、それがまた襲って来ました。
もしも彼女に……
ファミリーライフエデュケーター(教育的手法を使う家族支援者)である私としては、
この人にもし
●一人目で苦労して産んだ子は、つい大切に育てすぎてしまう
●子どもは、手をかけたら手をかけるだけ、手がかかるようになってしまう
●大切に育てすぎると、本人が集団に適応するときに苦労する
などを事前に教えてあげられていたら、
もしかして
この悲劇を防げたのではないか。
とつい思ってしまいます。
手を抜いてラクに、そしてなにより親子とも幸せに育ち合う方法を提案する子育て支援は意外と少ないからねー
もしも先生が……
幼稚園の先生は、誰も、どの先生も、けっして親を苦しめようなんて思ってはいません。
ただ、いつも子どもを良く育てたい、とは考えています。
だから、子どもを想うあまり、親には、もっとしっかりがんばってほしいと思ってしまいます。
これはそのまま、
学校の先生にもあてはめられます。
そんな先生方が
●その何気ない言葉が、親を追いつめることもある。
●親は、正しい指摘よりもまず、寄り添う支援を必要としている。
とわかっていて、
●子供は、良く育たなくても、善く育てばいい。
●生来、あるいはそれまでの人生の結果で、同じ母親でも子育てが得意な人と苦手な人がいる
●母親だけが子育てをしなくてもいい、たくさんの人の手を借りて子育てしてもいい
と知っていて、
彼女に伝えてくれていたら、
やはり
この悲劇を防げたのではないか。
とも思ってしまうのです。
だから家族支援を知ってほしい
もちろん
現実はいろいろなことが絡み合って存在するから
そんな単純なことではないかもしれません。
だけど
子育ての問題は、なにか起きた後に元に戻すことはすごく大変だけど、
それが起きる前に、事前に「知って、避けておく」と
それを未然に防げることがとても多いのです。
だから、このサイトを頑張って作りつづけて、いつかどんどん成長して、全国に散らばる公立学校の先生方に見てもらえるようになって、そして皆さんに家族支援の必要性を知ってもらって、一緒にやってもらえたら、なんとかなるんじゃないかと期待しているのです。
まだ、自分になにかできるんじゃないかって信じてる