というわけで、始めます。ここからは、若い女の子をはじめ、”経験が浅く子どものいない先生”が読者、という前提で書いていきますので、そのつもりで読んでください。
素手で勝負しよう
「あわせて読みたい」の「保護者のバリエーション」で解説したように、学校ではいろいろなタイプの保護者に出会います。
それは確かに事実なんだけれど、ただ、そこに警戒をしすぎてしまうと、うまくいきません。
いろいろな保護者の方にしんどい思いをした経験を経て、先生方は、だんだん保護者全員に心を許さなくなっていく傾向があるような気がします。経験のある先生方から「保護者対応気を付けて」なんてアドバイスがあるかもしれません。
でも、私は、先生が保護者に対して「対応」をしているかぎり、うまくいかないんじゃないかなあって思っています。
たとえ相手がどんな人であろうと、まずはフラットな気持ちで、等身大の自分で出会うこと。
ご自身の自己開示できる範囲を守りながら、最大限誠実に向き合うこと。
先生と保護者という立場の前に、新しく出会う人間同士として、礼儀をつくすこと。
この出発点を、この先もずっと大切にしてほしいと思います。(自分にも戒める)
ありのままの自分で、心をこめて出会ってください。
いろんな保護者の方がいることを、頭の片隅で知っておきながら……。
まず、話を聞こう
さて、実際の面談の場面で。
「自分は先生だ」と思ってしまうと、先生らしくいろいろ伝えなければと思ってしまうかもしれません。
でも思い出して。等身大で。背伸びする必要はありません。
むしろ、
と切り出して、おうちの様子や、親御さんの考え方、子育ての様子等の情報をたくさん仕入れると、これからの指導の参考になります。
問題行動のある子の親御さんには、「学校での問題行動の状況を、おうちの方にもちゃんとわかっていてもらわなくちゃ」と、ついつい、こちらからいろいろ伝えたい気持ちが勝るかもしれません。でもそこはぐっと我慢。
私は、問題行動については基本伝えません。
保護者の方の様子によっては、
みたいな言い方で、チラッと言及したり、
と言って、指導法のアドバイスを乞うこともあります。
ただ、いずれの場合にも、「問題行動に困っている」とか「家庭で指導してください」というニュアンスは含みません。
以前はそんなふうに伝えたこともありましたが、経験を重ねるうち、それは効果的な方法ではないと知りました。
面談は、こちらがなにかを伝える場というより、おうちの方からの情報をもらう場と考えよう。
子どものいいところを伝えよう
これは、ちょっとテクニックめいたニュアンスを帯びているので、私の好みではないのですが。
でもやっぱり、子どものいいところを伝えることは、親御さんといい関係を築くには効果的です。
普段から、それぞれの子どもたちのいいところ、得意なことはなんなのか、なんとなく観察してストックしておこう。
トラブルになってしまったら
面談での行き違いだけでなく、突然連絡帳でクレームが来たり、子ども同士のトラブルがこじれて保護者にも連絡しなくてはならなくなったケースなど、正直、おちこみますよね。
でも、そんなこと、教員なら誰しも、一つや二つの切ない思い出はあるもんです。
だから、自分だけだと思わないで!
私も、良かれと思ったことが裏目に出たり、配慮が足りずに親御さんの気持ちを損なってしまったり、いろいろありましたよー。
保護者トラブル、なぜ、こんなにショックなのかなあって考えて考えて考えて、気づきました。
クレームを言うっていうことは、つまり、私のことを信じてもらっていないってことなんです。「マミ先生がまさかそんなことをするはずがない、何か事情があるだろう」と思ってくれていたら、クレームじゃなくて、問い合わせになるはずなんです。
私は、人を信じて、人に信じられて生きていきたいと思っているので、信じてもらえなかったんだなってことに、深く傷つくのでした。
でも、世間のイメージでは、「先生」って、「わかってない人たち」って思われている節もあるので、信じてもらえないのもわかるんですけどね……。でも、私たちがどれだけの思いで子どもに向き合っているかと思うと、信じてもらえないのはホント辛い。
嘆いていても、しかたない。
とにかく、トラブルは起きてしまったのだから、対処しなくてはなりません。でも、
過去は絶対やりなおせない。
どんなに後悔しても、起きてしまったことは仕方ない。
だから、起きてしまった後にどうするかを考えるしかない。
私もいろいろ悩みぬきましたが、今では、自分の中でトラブルにどう対処するかの方針を持っているので、けっこう爽やかです。
それは、こんな感じ。
①問題が起きたことに対しての説明だけでなく、このことに対しての思い、自分の心のひだや裏側までも丁寧に説明し、誠意を尽くして理解を求める。
②それでもわかってもらえなかったら諦める。
もう、これだけです。シンプルにこれだけ。
だって、私はいつだって誠意を尽くして子どもに向き合っているんだから。
失敗はしたかもしれないけれど、なにも後ろめたいことはしていない。
だから、これだけ愚直にやって、天命を待つ。
それしか方法はない。と思っています。
だって、なにも悪いことはしていないのだから。